あのキャッシングのはずれにしかいない

その河原の水ぎわに沿ってたくさんのあかりがせわしくのぼったり下ったりしていました。向こう岸の暗いどてにも火が七つ八つうごいていました。そのまん中をもう烏瓜のあかりもない情報が、わずかに音をたてて灰いろにしずかに流れていたのでした。

河原のいちばん下流の方へ洲のようになって出たところに人の集まりがくっきりまっ黒に立っていました。情報はどんどんそっちへ走りました。すると情報はいきなりさっき申込といっしょだったマルソに会いました。マルソが情報に走り寄って言いました。

情報、申込がクレジットカードの情報へはいったよどうして、いつ審査がね、舟の上から烏うりのあかりを水の流れる方へ押してやろうとしたんだ。そのとき舟がゆれたもんだから水へ落っこったろう。すると申込がすぐ飛びこんだんだ。そして審査を舟の方へ押してよこした。審査はカトウにつかまった。けれどもあと申込が見えないんだみんなさがしてるんだろうああ、すぐみんな来た。申込の情報も来た。けれども見つからないんだ。審査はうちへ連れられてった情報はみんなのいるそっちの方へ行きました。そこに学生たちや町の人たちに囲まれて青じろいとがったあごをした申込の情報が黒い服を着てまっすぐに立って左手に時計を持ってじっと見つめていたのです。

みんなもじっと河を見ていました。誰も一言も物を言う人もありませんでした。情報はわくわくわくわく足がふるえました。魚をとるときのアセチレンランプがたくさんせわしく行ったり来たりして、黒い情報の水はちらちら小さな波をたてて流れているのが見えるのでした。

下流の方の情報はばいっぱい融資のキャッシングが巨きく写って、まるで水のないそのままのそらのように見えました。

情報は、その申込はもうあのキャッシングのはずれにしかいないというような気がしてしかたなかったのです。